
「ちょんの間(ちょんのま、ちょいの間とも言う)」。
今の一般の若い人たちや、あまり風俗関連に縁の薄い方々は聞いたこともない言葉かもしれません。
今回は、その「ちょんの間」について、個人的見解も含めて解説してみたいと思います。
「ちょんの間」とは?
簡単に言うと、「短い時間で●番行為をいたす裏風俗店」の総称です。
関西方面の風俗上級者には慣れ親しんだアンダーグラウンドの用語ですが、皆さんは正確な意味をご存知でしょうか。
「ちょんの間」の定義
「ちょんの間」とは、かつての赤線エリア(GHQによる1946年の公娼廃止指令から1958年の売春防止法の施行までの間に、政府公認で「特殊飲食店」として合法売春が行われていた地域)や、青線エリア(同左期間に「特殊飲食店」の許可をとらず非合法で売春が行われていた地域)で、売春営業していた風俗店およびその地区のことを言います(両者とも、旅館・料亭・飲食店・スナックなどの店舗で客と従業員が恋愛して行為をしたという名目が必要だった点では法的にグレー)。
また、その語源の「ちょっとの間(30分前後)の行為」から読み取れるように、基本的に行為の時間が短いのも特徴です。
遊郭などが公然と存在した時代の「女郎屋」や「置屋(おきや)」などと似ていますが、正確にはかつての赤線・青線エリアにあるものを特に「ちょんの間」と呼びます。
要するに、1958年に国内のどこであろうと売春が完全に違法になった後の「遺物」が「ちょんの間」。
「ちょんの間」はこんにちも存在する?!
「遺物」というからには、時を経ることにより減少、絶滅するのが道理です。
実際、非合法のレッテルを貼られた「ちょんの間」は、激減していきました。
が、実はその「ちょんの間」、令和のこんにちも生存しているエリアが複数あります。
無論、「ブラック遺物」的な存在である以上、絶滅寸前或いは事実上消滅しているエリアもありますが、何故かオモテ風俗に引けを取らない勢力で生き続けているエリアも存在するのです。
「ちょんの間」はどこにある?
かつては、ほぼ全国にあったとと言っても言い過ぎではありません。
上述した旧赤線・青線に該当するエリアは、古くは宿場町の跡から、炭鉱エリア、漁師町、軍事演習場・工場近く、温泉街、米軍駐留地などなど、大勢の人と富の集まるところには大小必ずと言って良いほどに遊郭があり、その残滓としてのちょんの間も儚くも存在しました。
そしてこんにち、その存在(と痕跡:2000年代初頭から摘発や営業不振の理由で消滅した場所も多い)を下記にまとめてみました。
「ちょんの間」一覧地図
この数年の「ちょんの間」の存在をマッピングしました(旧跡含む)。
地図上のピンアイコンをクリックするとその詳細が見られるほか、マップタイトル左上の のマークをクリックすることでマッピングデータを一覧リストを参照できます。
また、拡大することでエリア(推定)も確認できます。
「ちょんの間」一覧と解説
上記マッピングデータをリスト化し、可能な限りの解説を付してあります。
北海道・東北
- 稲荷小路(北海道旭川市)
現在、酒房やスナックという形式のお店が数件現役営業している様子。 - 紙漉町(青森県弘前市)
数年前には旅館形式の店が2,3件確認されていますが現在は廃業している可能性が高いようです。
ただ、弘前駅東部のエリアでは今なお怪しい旅館が複数あるそうな…。
関東
- 堀之内(神奈川県川崎市)2006年の取り締まりにより完全になくなったはずです(怪しい店もまだある様子)。
ただこの界隈は、ソープランドがその数を減らしつつもいまだに頑張っています。 - 南町(神奈川県川崎市)
こちらもちょんの間は絶滅寸前か。
「店先でおばさん待機」のようなお店は見当たりません。恐らくは連れ出し形式の飲み屋として表には出てこれなくなっているようです。
中部
- 伊豆長岡(静岡県伊豆の国市)
古き良き温泉街。2015年頃はちょんの間然とした店もありましたが、今はアジアン連れ出しスナックのような形態のお店がほとんどだそうです。嬢に日本人は少ないかもしれません。 - 有楽町(愛知県豊橋市)
普通の住宅地のなかに旅館形式で5,6件、今なお存在している様子。引き戸の玄関扉が3cmほど開いているのが営業の印とのこと。なかなかオツな演出です。
元々この辺りは良く栄えた遊郭だったそうで、それらしい建物が今も多く見られます。上記営業中の数件もそのような建物なので見つけられるかも。
近畿
- 飛田新地(大阪府大阪市)
ちょんの間の王者。ここはまさに飛びぬけています。
東日本の寂寥感と比較するとウソのような堂々たる営業。約150軒のお店が並び街全体が映画のセットのよう。
嬢も多勢で若く、質も高いのが特徴。 - 松島新地(大阪府大阪市)
少し質・量(約100軒?)ともに飛田新地に譲るところですが、とっつきやすくサービスはむしろ濃厚というのが定説です。 - 今里新地(大阪府大阪市)
飛田・松島と異なり、地味なお店の前に「やり手婆」さんが鎮座。嬢の顔見せがありません。しっかりと希望のタイプを伝えましょう(必須)。 - 滝井新地(大阪府守口市)
規模は小さく、今は数件。しかも住宅街に埋もれているので本当に小料理屋が並んでいる雰囲気。但し、このエリアは顔見せがあり嬢を選べます。 - 信太山(しのだやま)新地(大阪府和泉市)
ほぼ顔見せはありませんが、嬢(比較的熟女が多い)も質が良くコスパが良い(7,500円/15分)という評判のエリアです。
住宅地の中ですが、全体的にお店(旅館形式)がキレイで、契約しているスタンドからデリバリーする方式が独特です。ちなみに、最近(2021年)の人気旅館は「彩円」「ぶれんだ」「花紋」「まるや」「金太郎」だそうです。 - かんなみ新地(兵庫県尼崎市)
「神田南通り」略してかんなみ。そのブロックの一角にぎゅうぎゅう詰まった長屋群が新地営業店です。ほとんどが料理屋風ですが看板などはなく名称も付いていないという不思議な街並み。顔見せしていて嬢レベルは悪くないという評判。
→2022年、一斉摘発により消滅。 - 天王新地(和歌山県和歌山市)
もはや自然崩壊寸前。旅館形式のお店が恐らくは2,3軒あるのみ。
嬢は熟女がほとんどということですが、価格は10,000円/30分でサービスも悪くないという話も聞きますが…。 - 生駒新地(宝山寺新地)(奈良県生駒市)
正式には宝山寺新地が正しいそうです。
生駒ケーブルで訪問するありがたい宝山寺という寺院の門前町の普通の宿泊旅館が(ほぼ)そうだと言います。
そしてシステムがちょっと特殊で、2時間で27,000円(ご休憩)、泊りが41,000円。
ちょんの間というよりはアジア風私娼宿ですかね?
ただ、働き手(嬢)が年々減少していてそっちのほうの継続も難しくなってきているそうです。
中国・四国
- 瓦町(香川県高松市)
駅裏にちょんの間併用の連れ込み旅館が3軒ほどあったようですが2017年頃に絶滅した模様。まず見込みなしなので下の地図からも外しました。 - 栄町・秋田町(徳島県徳島市) – 通称:パンパン通り
寂れた雰囲気だが現役店は5~8軒ほどか。秋田町の繁華街から南エリアで、メインは「ヤラカスシティホール」という葬儀会館の東側の筋。廃屋となっているいかにもな家屋も何軒か目につきます。
はっきり言って何の店かもわかりませんが、小屋のような出で立ちの建物もあります。あと数軒は旅館もあります(旅館の看板はありますが普通の家のよう)。
昼間から営業はしているようですが、通りすがりでは気づくこともないでしょう。夜は仄暗い通りがそれっぽい雰囲気になるので目安となります。 - 堺町(高知県高知市)
ソープランドもある街ですが、ビジネス旅館形式のちょんの間が数軒ぎりぎりの営業を続けているもようです。顔見せはなく3,40代の嬢が中心です。 - 玉水町(高知県高知市)
旅館形式のお店が3,4軒残って営業しているそうです。このエリアもそう長くは見られないかもしれないですね。
顔見せはなく、店頭の「やり手婆」さんに好みを伝えて待つかたち。ご多分に漏れず熟女が多いようですが、値段は安く6,000円/20分が相場だということです。 - 千舟町(愛媛県松山市)
今は4,5件となった旅館形式のお店があります。
8,000円/30分からが相場のようですが、やはり熟女が中心みたいです。
昼間からまるでポン引きのようなおば様たちが活動しているエリアで、かつては20軒以上あったお店がやはり時代の流れで今に至っている様子。 - 土橋(どばし 愛媛県松山市)
スナックなどのていで数軒密かに営業しているようですがヒットする可能性は低いと思われます。筆者の知人の話で、突撃情報は2010年頃のものしかありません。最新の2019年の話では夜間ひと気はあるものの1軒しか電気はついていなかったということ。
九州・沖縄
- 花畑(福岡県久留米市)
十数軒の旅館形式のお店が営業していたということですが、2017年には主に取り締まりにより消滅したということです。
ちょんの間は廃業して真っ当な旅館を続けているお店もあるらしいのでひやかしなど行かずにそっとしておいてあげましょう。 - 別府温泉:竹瓦温泉(大分県別府市)
街全体が煩雑な繁華街のノリ。飲み屋・料理店・風俗店舗のギンギラパラダイス。その中でも今なおひときわディープな路地裏にいくつかのビジネス旅館が存在します。
単純な観光客ではまず発見できないのですが、九州管内ではそこそこ名の知れたゾーンなのだそうです。
熟々女がお相手をしてくれるらしい。 - 甲突町(鹿児島県鹿児島市)
古くからの歓楽街、常盤遊廓と言われた娼窟だったそうで、十数軒の旅館形式のお店がいまだ活動しているようです。
熟女中心で、ある筋の情報では12,000円/30分であったということです(2019年情報)。 - 安里:栄町社交街(沖縄県那覇市)
2020年現在、5,6軒、スナックまたは旅館の名目で現在も活動中とのことですが確実に終焉を迎えつつあるようです。
街全体の雰囲気はガチな場末。昼はむしろ静かで鄙びた飲み屋街という感じでも夜になると怪しげな世紀末感が漂い、ポン引き兼やり手婆さんがひたすら強引に客引きをするということ。
嬢の年齢層は非常に高いらしいのでお好みの合わない方はご注意ください。 - 与儀(沖縄県那覇市)
2020年現在確実な情報がありません。壊滅した可能性もあります。
一応下の地図には推測エリアを載せておきます。 - 美里:コザ吉原(沖縄県沖縄市)
2010年から2011年にかけての浄化作戦でほぼ壊滅。以来数店舗の不定期営業が見られたものの今はまったく消滅しているという話です。
東京の色街である「吉原」から名付けたセカンドネーム(実際にこのエリア入口は公式に「吉原」という交差点がある)でしたが、もう2度とお店として灯りがともることは無さそうです。推測エリアを載せておきます。
まとめ
本記事では、数奇な歴史を持つ裏風俗、「ちょんの間」について、その沿革や現在をまとめました。
尚、本記事は、自身による2020年当時の投稿を加筆・訂正し再投稿したものです。
完全な監修には及びませんが、今後も修正しつつ骨格を残していくつもりですのでご了承ください。
以下の情報は、あくまでも一般的・代表的なちょんの間の遊び方であり、地域によってルールやスタンダードが異なりますことをご了承ください。
行為については記事で少し述べましたが、今あるソープランドをはじめとする他の風俗サービスとは「時間」が大きく異なります。ソープ(●番あり)やヘルス(●番なし)ではサービス時間は短くても40分、大体60分というのが平均時間帯だと思いますが、「ちょんの間」の場合、サービス時間はなんと通常で「15分から20分」が多数派。ソープ・ヘルスの詳述はしませんが、要するにシャワーや入浴はもちろん、ほとんど相互の前戯も割愛するような潔さがちょんの間の遊び方のスタンダードとされます(近畿のメジャーな「ちょんの間」はこんにちではシャワー付きが多いようです)。
次にお相手の選び方ですが、ネット情報が当然の時代にあって、裏風俗故の秘匿性が基本の選び方で、公開情報は原則ありません。遊郭・スナック形式の店舗だと眼前の本物からサービス内容を聞きながら選びます(マイナーエリアでは交渉するおば様がそのまま相手だったりする)。そこで「サービスがなっとらん」などとの給うてはなりません。異世界です。もはや時間旅行。おおらかでなんでもありだった戦後から高度成長期の残り香を楽しめる場所、それがちょんの間。